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![]() 『 たとえことば 』 4歳 砂を触って遊ぶ子どもたち。 ひとしきり遊んで手の砂を払い落とす。 手と手をたたき合わせて 砂埃がたつのを見て言った。 「 砂の花火だよ 」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は… あるものを違うものにたとえてことばにする 子どもの感性について… 「 〇〇のような 」という たとえの表現を 大人もすることがあります。 「 滝のような雨 」 とか 「 太陽のような人 」 とか…。 「 まるで〇〇のよう 」と、 相手が、そのものや状況をよりイメージしやすいように あるものを違うものにたとえて表現します。 そのものや状況に出会ってとても感動して それを伝えたくて思わずわずたとえることもある たとえことばです。 感動と興奮で、たとえば… 「 今日ね、宝くじに当たったような嬉しいことがあったんだ 」 と。 手についた砂を払い落としたときの砂埃を見て 「 砂の花火だよ 」 と言った子どものことばも、 まさに感動して思わず口に出たのでしょう。 相手がイメージしやすいようにと言ったのではなく、 その状況に出会った感動で浮かんだ たとえことば。 その感動が伝わってきました。 4歳の今の今まで見てきたもの、聞いてきたこと、 触れてきたもの、感じてきたこと… 経験から得たことば全てを総動員して 「 〇〇のような 」 と たとえことばにする、そのたとえが あまりにも身近で、 たくさんの言葉を知り過ぎている大人には 思いつかない 「 たとえ 」 だからこそ より一層 キラキラと輝くのでしょう。 子どもの感性だからこその輝きです。 たとえことばで表現するには、 それだけいろんなものを見て、聞いて、触れて 感じる経験が必要です。 「 滝のような雨 」 と表現するには 「 滝 」 がどういうものか知らないと出てきません。 「 太陽のような人 」 と言うには 「 太陽 」 そのものは知っていても、 それがどういう存在か、 ことばにできないとたとえられません。 子どもの豊かな感性はそのままに、 「 知る 」 ことの楽しさ、 「 世界が広がる 」 ことの面白みを味わいながら ことばの世界も豊かにしていきたいですね。 語彙がどんどん増えて表現力が豊かになってくると 伝える力、コミュニケーション力も より高まっていきます。 そして、そういう人とのつながりからも また異なることばの世界が広がります。 より多くのことばを知っても より深い知識を蓄えても、 初めて知った時の感動を忘れずに、 感性豊かな 「 たとえことば 」 を生み出し続けられ ますように! いま話題のチャットGPTは、 多種多様なことばを使って感想文まで仕上げるといいます。 が、その人工知能に蓄えられる膨大なことばのデータは 大人によって埋め込まれたもの。 子どもの感性から発せられる、理屈や正解のないことばは 人工知能では、はじき出されないのではないでしょうか。 その瞬間その瞬間に、子どもの経験と思いが詰まった 唯一無二の世界だからこそ、 輝きをもって感動を与えてくれるんだと思います。 子どもが発することばひとつひとつを聞き逃さずに 大切に受け取って、感動を共有したいですね。 「 子どもは何もないところであらゆることを発見する 大人はあらゆるものを目にしても何も発見しない 」 by ジャコモ・レオパルディ INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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