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![]() 『 ことば選び 』 年長 読売新聞掲載 こどもの詩 より。 「 注射 」 ママ 注射 痛い 怖い イヤ! あーー じゃなくって あ! にしてって先生に頼んでね あーー は絶対イヤ! あ! がイイ! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は… ことばを習得する過程での 子どものことば選びについて… 前回 「 子どものとき 」という表現をした 子どものことば選びをお伝えしました。 今回は新聞掲載の詩から、またまた心を動かされた 子どものことば選びです。 「 あっという間 」という表現を 年長のこの女の子は耳にしたことがあるのでしょうか? 耳にしていても意味がわからないと、 そのことばが合う状況で、そのことばを使うことは とても難しいです。 「 あっという間 」 の 「 間 」 が 「 時間 」を表すということがまだわからなかったり、 大人感覚で言う 「 あっという間 」 は 子ども感覚では 「 あっという間 」 ではなく、 耳にしている大人の 「 あっという間 」 の場面が 子どもにとってピンとこなかったり… 「 あっという間 」 という表現は、 意味の理解までに時間がかかることばかもしれません。 子どもは、ことばを教えられて覚えるというよりは、 日常生活の中で、その場面場面でのことばを耳にして 自然に習得していきます。 またそのように身に着けたことばの方がより定着し、 実際に使っていけるようになります。 たとえば… 「 これが犬よ 」 「 これは大きい 」「 あれは小さい 」 と教えられるより、 道で犬と出会って 「 かわいい犬ね 」 「 大きな犬ね 」 と声がけされることで 「 あれが犬っていうんだ 」 「 これが大きいっていうことなんだ 」 と、ことばを理解し、使えるようになります。 たとえば… 桃太郎の絵本を見ながら 「 これが川よ 」 と、教えられたり 「 この果物は何ていうんだった? 」 と、テストされるより 純粋にストーリーを楽しんだ方が内容もすーっと入ってきて 新しいことばをおぼえていきます。 その中で、「 あっという間 」という表現は 大人は教えることばとして捉えてなくて、 それこそ状況に応じて自然と理解していくことばになります。 注射という痛くて怖い場面を想像すると 「 すぐに終わってほしい 」 「 あーー は長過ぎる 」 「 あ! っていう短いのがいい 」 という感情から出た自然な表現。 お父さんやお母さんが使っているのを耳にしていて、 けれども その意味がまだピンときてなくて、 頭と耳の片隅に残っていた 「 あっという間 」は この段階ではまったく意識していないけれども 出てきた表現。 ことばの習得過程でのことば選び… とても状況を、気持ちを表す表現で感動をおぼえました。 もしかしたら 「 あっという間 」を作り出したのはわたし? と なってもいいかもしれませんね。 ことばを身につけていく段階で子どもは、 「 間違える 」ことをちっとも怖がりません。 間違いを間違いと知らないということもありますが、 周りから間違ってると言われても気にしません。 それは、その間違いに周りが笑ったり感心したりする、 その様子が嬉しくさえあるからではないでしょうか? もう少し大きくなったら、 そして大人も…ですが、 間違えることが怖くてなかなかことばに出さなくなります。 日本人に英語を教えているアメリカ人が 「 間違ってもいいからもっとしゃべらなくちゃ 」 とよく言います。 間違い = 恥ずかしい と思って、 確信を持てるまでなかなかことばに出さない日本の大人たち。 でも子どもは違います。 日本語も、英語だって 耳にしたことばを、繰り返し、ことばに出して使ってみます。 だからこそ、いろんなことばに囲まれて生活していく中で 最大限にことばを習得することができます。 子どもが選んだことばたちを 周りが温かく笑って受け取っていけば… いろんな場面で何度も何度も使ってみて どの場面にそのことばがもっとも合っているのか 経験でつかんでいきます。 いくつになっても、そして大人も、 間違いや失敗を怖がらずに選んだことばや習ったことばを 口に出して使っていきたいですね。 「 言葉はアイデアのシンボルなので 言葉を集めることによって アイデアを集めることもできる 」 by ジェームス・ウェブ・ヤング INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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