Kids CanvasEQ・IQを伸ばす育児の知恵と幼児教育
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      『 大切なもの 』  3歳



     火事を想定した‘ 避難訓練 ’で、

     外に避難するときに

     思わず自分の弁当箱を抱える子ども達が何人かいた。



     訓練を終え、教室に入って
     そのことについて話し合った。





     すると、



     「あのね、粘土も持っていかないと 焼けちゃうよ」

     「お当番カードが焼けちゃったら
      誰がお当番さんか わからなくなっちゃうよ」




     他にも、

     かばん、帳面、ロッカーなどなど・・・

     ひとりとしてそれを否定することなく
     持ち出さなければならない大切な大切なものを
     口々にしていた。



     当番になる待ち遠しさや、
     大好きな幼稚園の大切なものに対する強い気持ちが表れ、
     必死に話す子ども達。




     幼稚園のそれらの大切なものよりも
     もっともっと大切なものがあること、




     つくり直すことができない‘命’の大切さについて話すと・・・





     ‘それでも・・・’


     というような顔の子ども達・・・。




     目に見える大切なものが重要であるといわんばかり・・・。





     すると ふと・・・




     「せんせい、
      ○○(自分)と△△ちゃん(妹)が死んだら どうなるの?」






     とポツリと尋ねる子どもが・・・






     そのことばには
     とても真剣な表情で聞き入る子ども達であった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


     ということで、今日は・・・



     大切な‘弁当箱’よりも

     大切な‘当番カード’よりも



     もっともっと大切なものは?







     「 ○○が死んだら どうなるの? 」



     ということば・・・






     ‘火事’が怖いこと、
     ‘命’が大切なこと、


     それはわかってはいるものの


     それとはまた別に
     ‘大切なもの’もまた

     ‘火事’・‘焼けてしまうこと’

     から守らなければいけないという子ども達です。




     それは おとなから見ると

     ‘そんなもの’でも

     子どもにとっては

     ‘ 宝物 ’です。





     おとなでも

     ‘これだけは守らなければ・・・’

     というものはないですか?





     自分の命と引きかえでも守らなければならないもの・・・が・・・






     三歳の子どもにとっては
     ‘引きかえ’というほどの気持ちはまだ理解できません。


     ‘自分といっしょに守る’


     という気持ちです。




     そういう気持ちでいるところに、


     ‘ 弁当箱 ’を持つ間に
     ‘ 火 ’が自分の洋服に燃え移ったら???



     と 考えるとふと・・・



     「 ○○が死んだら どうなるの? 」



     ということばが出てきました。






     ‘大切なもの’の重さを考え、
     不思議がる子ども達の率直な気持ちの表れです。





     ゲームの中では、
     一度死んでも すぐに生き返ることができたり、

     テレビの中では、
     ヒーローはどんなことがあっても死ななかったり、



     ‘ 命 ’って?

     ‘ 死 ’って?



     深く考える機会が少なくなりつつあるように思います。





     「 ○○が死んだら どうなるの? 」





     というひとりの子どものことばを聞いて
     それぞれの子ども達が、頭に浮かべ、感じたことを



     ずーっと心にとどめておいてほしいと願うばかりです。

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