![]() |
HOME | INDEX |
![]() 『 感動から出ることば 』 読売新聞掲載 読売歌壇の短歌より 海を見て 「 駿河湾や 」 と 我は言う 「 海や 」 と叫ぶ 子らが正しい 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで今日は… 感動から出ることばについて… 何歳くらいの子どもかはわかりませんが、 今までに海を目にする機会は数えるほどでしょう。 もしかしたら初めてかもしれません。 広くて大きな海〜 テレビや絵本で見たことはあるけれど、 うたもうたうけれど、 押し寄せては引く波の音、 潮の香、 何色か名前がつけられないような色、 実際に目の前にして思わず出てきたことば… 「 海や 」 感動の叫びですね。 大人は子どもよりもたくさん海を見てきています。 そしてより詳細な情報も持っています。 この海がどこの海なのか、 知識が先に立つのでしょう。 そしてそこに感動をおぼえるのでしょう。 子どもでもたとえば 好きでたくさんの情報を得ている対象なら 細かな種類の名前で感動のことばを発します。 「 恐竜や 」 ではなく 「 トリケラトプスや 」 と。 興味を持ってその対象をもっと深く知りたいと思い、 知れば知るほどより面白くなって どんどん知識を増やしていきます。 知識が定着してくると 関心が深い対象であればあるほど 感動から出ることばも より詳細になってきます。 名前や情報は頭にあっても たとえば 花見に行って圧倒されるような桜を見て 感動から思わず口をついて出ることばは… 「 きれいな ソメイヨシノやなー 」 ではなく 「 きれいな 桜やなー 」 ではないでしょうか? 感動の対象がその人にとって どれだけの深さのところでの関心事なのか、 感動から出ることばによって読み取れます。 特に子どもは、 好きなものの情報はどんどん記憶し、吸収していきます。 車、昆虫、花、恐竜、アニメ… より詳細なことばで感動の叫びをあげるでしょう。 どんなものでも詳細な情報を得たいと思うスタートは、 新しいものとの出会いです。 感動です。 「 海や 」 と叫んだその心の動きです。 いろんな 「 初めて 」 と出会って その中から より深く知りたいと思えるものが見つかれば 子どもの能力の発揮どころです。 何がその子どもの心を捉えるか、 もっと深くたくさん知りたいと思うか、 それは親にも、本人にさえもわかりません。 ピピっと来る出会いがあれば、 教えられて覚えるものと違って 自ら知りたいと思い、 そこで得た知識はより枝葉を広げていきます。 その分野では 「 博士 」 と呼ばれるくらいの知識を持って 友達に、いえ大人にも教えてあげます。 「 よく知ってるね 」 「 教えてくれてありがとう 」 そんなことばをもらって とっても嬉しくなり、喜びを感じ、 大きな大きな自信につながります。 大きな大きな自己肯定感が生まれます。 いま、自己肯定感が低い子どもが増えていて 自信のなさが承認欲求に結び付き 相手のことばを遮断し、 攻撃的な言動をするようになってきているといいます。 言い負かすのではなく、 「 得意 」 分野で力を発揮して 認められるようになればいいですね。 自分自身も周りも笑顔いっぱい、 幸せな空気に包まれるでしょう。 まずは深く知りたいと思える対象が見つかるように いろんなものとの出会いの場を作りたいですね。 まだ動きやすい季節のいま、 身体を動かして感動の叫びをあげていきましょう。 「 人間を動かすものは感動であって 理屈ではありません だから理動ということばは辞書にありません 感じるから動くんです 」 by 相田 みつを INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
|