EQ・IQを伸ばす育児の知恵と幼児教育
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      『 方言 』    1 歳




     読売新聞掲載  こどもの詩    せんせいから




     1歳児クラスでままごと



     空っぽの鍋を見た男児が一言


     「 ね(ない) 」




     その後、レモンを食べるまねをして


     「 すっぺ(すっぱい) 」


     ( 秋田弁を使いこなしている子どもの様子 )




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     ということで今日は…


     ごっこ遊びで子どもが使うことばについて…




     1歳児(クラス)でこれらのことばが出ることに


     とても驚きました。


     形容詞が出るなんて! と。



     この年齢は、


     「 これは なあに? 」


     ものの名前を蓄える時期です。



     「 いぬ 」

     「 りんご 」


     などなど身近なものの名前からです。


     そこから


     「 大きな犬 」

     「 赤いりんご 」


     と、状態を表すことばが加わっていきます。



     空っぽをさして

     「 ね(ない) 」 とか


     レモンを食べるまねをして

     「 すっぺ(すっぱい) 」 とか、出てくるのは、


     教えられたことばではなく、


     たくさんのことばに囲まれて、


     豊かな生活体験を送る中で身に付いた
んだなと感心しました。



     方言での表現はまさに身近な人が使っていることばをまねて


     使うようになったんでしょうね。


     生活の空気が感じられます。


     秋田弁と標準語の区別もまだなくて


     全国、誰にでも通じることばとして使っているのでしょう。




     年齢が高くなると、


     ごっこ遊びで使うことばは標準語になって
きます。



     それは自分ではない役を演じるから



     ままごとでもお店屋さんごっこでも


     戦いごっこならなおさら…


     絵本やテレビのことば、


     実際のお店屋さんが使うことばを


     まねるからです。



     ばりばり関西弁のお店屋さんはいないから


     「 おおきに 」


     ではなく


     「 ありがとうございます 」


     と、お客さんに丁寧にことばをかけます。


     ことばそのものはもとよりイントネーションまでもです


     ( 「 ありがとう 」の「 と 」にアクセントがある

       関西弁ではなく)。



     ごっこの遊びの中では


     その地方に住んでいる自分ではなく、


     架空の世界のだれかを演じているから





     お店屋さん、お医者さん、駅員さん、


     お母さん、赤ちゃん、先生、


     いろんな場所で、いろんな仕事やいろんな人を垣間見て


     その世界を再現して演じ
ます。



     そこで見聞きした標準語をまねて!



     子どものことばは


     まだまだしっかりと定着していないため、


     大人よりも柔軟に


     方言と標準語とを行ったり来たりできる
のです。




     自分ではない役を演じることができるのは


     知的能力の成長の証し
です。



     新しいことばが増え、


     場面に応じた表現を使って、


     相手とのやりとりなどが うーんと広がり
ますから。



     そしてことばだけではなく、


     次第に演じる人の気持ちも想像できるようになってきて


     他者への共感、思いやりの心も育って
きます。




     最初は、


     お母さん役の子が


     「 プリキュアのコンパクトが欲しいわ 」


     と言っていたのが、


     「 エプロンが欲しいわ 」


     と、お母さんの気持ちを想像して言えるようになります。


     自分が本当に欲しい気持ちは抑えて…。




     こんなふうに、


     いろんな人がいろんな世界で、


     自分とは異なることばや動き、気持ちを持って存在することに


     まずは触れる経験をたくさん持ちたい
ですね。



     「 初めて 」 をいーっぱい経験して


     見て聞いて感じて、


     まねして再現して


     ことばも心も広く大きく成長して
ほしいですね。





     「 子どもは大人のいうことを聞くのは得意じゃない

       だけど、真似をするのは抜群にうまい 」


      by  ジェームズ・ボールドウィン





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