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![]() 『 ことばの理解と3歳児検診 』 3歳児 物の特徴を表すことばを学ぶために 買い物ごっこを楽しみながら、 ‘ 色 ’や‘ 形 ’のことばを使って遊んでみた。 買い物ごっこで遊ぶ前に ‘ 赤くて丸いもの ’ を 野菜・果物屋さんの中から見つけて発表。 「 りんご 」「 いちご 」 「 トマト 」・・・ などなどたくさん出てきた。 ‘ 緑で丸いもの ’は? 「 すいか 」 と、考えて話し出す。 が、 「 すいか 」 ということばが出ると、 「 すいかは、海で食べるんだよ 」 「 棒でこうやってつぶすの 」 などなど、 ‘ 緑で丸いもの ’ はもう頭から飛んでいってしまって その食べ物に関連する事柄を次々に話し出す子どもたち・・・。 さて、実際に買い物ごっこを始めると・・・ 「 橙色で丸いものを買って来てね 」とのことばに 色も形も全く違うものを選ぶ子ども・・・ 「 これ、ください 」 と、 満面の笑顔で違うものを買っていた・・・。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は・・・ 色や形など、ものの特徴を表すことばの理解と それを行動につなげる力について・・・ 形( ○・△・□ ) の弁別や、 長さ( 長い・短い )、太さ( 太い・細い )などの理解は、 3歳児にとってまさに身につけていくタイミングになります。 「 赤くて丸いものは? 」 という問いに 「 りんご 」「 いちご 」「 トマト 」 とはっきりと答えることができました。 前回、3歳児検診について記しましたが、 いくつか反響がありまして、 多くのお母さま方が気に止めておられるんだなと感じましたので 今回も少しお話します・・・。 ある地域での 3歳児検診で、 「 前・後ろ 」 の理解を問われる問診があったそうです ( 検診内容は、居住地域によってまちまちです・・・ )。 「 上・下 」「 前・後ろ 」「 右・左 」 という‘ 空間知覚 ’の理解はとても難しく、 まだ、 「 長い・短い 」「 太い・細い 」「 高い・低い 」 などの‘ 比較 ’の方が、理解し易いです。 生活をしていく中で、自然にことばとそのものの特徴が いっしょになって耳と目に入ってきて理解をしていって いるのです。 知識の切り売りではなくて、 そういう経験から学んだことがしっかり身について 土台となって、 そこから細かなところ、深いところまでの理解につながって いくのです。 「 すいか 」 ということばを聞いて、 「 すいかは、海で食べるんだよ 」 「 棒でこうやってつぶすの 」 などなどと、 すいかから思い返される光景を次々に話し出していた 子ども達ですが、 これは、話が横道に逸れているようにも思われますが、 そのものの特徴をより知ることにつながると同時に 経験に結びつけての話で、 それぞれによく考えていることですので大切にしたいものです。 が、 その後の買い物ごっこで、 指定の色と形のものを買うことができない様子は・・・、 話を聞いて理解することと、 それを いざ行動につなげていく段階で ‘ 買い物 ’という新しい興味ある活動 (お店屋さんとのやりとりやお金を払うことなどなど) に気をとられずに(その話が、頭から飛んでいかずに・・・ )、 頭の中に残しながら、 その指定されたものを冷静に思い起こして行動できるかどうかが 大人と違って 子どもには難しいことになるという例です。 ですので、 3歳児検診でも 「 家ではできるのに・・・ どうして保健士さんの前ではできないのかしら?? 」 という経験も多くされていると思いますが、 これは、 尋ねられていることばの理解よりも 家庭とは違う周りの環境への興味や好奇心からくるもので これらの誘惑を冷静に受けとめて、 保健士さんのことばを頭から外さずに 理解して答える・行動につなげていく・・・ ということが、難しいためですね。 他には、たとえば・・・ 「 いくつなの? 」 と、年齢を尋ねられただけなのに 「 ○○ ○○です。3歳です 」 と、名前をプラスしてスラスラと答える子どももいますが、 これも 歳を尋ねられたら、必ず名前も尋ねられるという経験からか、 お母さんに教え込まれたためか、 ‘ 歳と名前 ’がセットになって出てくるもので、 決して、相手の質問を聞いて理解して話しているという ことにはなってはいません。 逆にこれは、 かえって概念が凝り固まっている大人にも多い現象ともいえます。 大人の場合は、先回りをして答えるという意味では、 「 よくわかったね!! 」 と、 先回りの答えが賞賛されることもあるかもしれません。 が、それが思い込み(これを尋ねられたら次はこうくる だろうという)となって、 話の行き違いや誤解を生む結果にもつながることもあります。 興味のまま経験を思い起こしながら話すことが、 その質問の意図にそっていなくても大切な時と 興味にすべての思考が奪われるのではなくて 問われたことを思い起こして その話( 質問 )を冷静に考えて答えること、 行動につなげていくことが大切な時と いろんないろんなケ−スがありますが、 この時期( 3歳児 )には、 できるだけ多くの経験と興味を引き出すことが最優先 されてほしいと思っています。 ですので、3歳児検診でも、 環境の違いによる子どもの様子に対する配慮がなく 杓子定規な枠にはめこむものならば、 ‘ できない ’ということを そんなに深く受けとめることはありません。 日頃の子どもの様子に目を向けていくことが大切です。 もちろん、年齢とともに 自分の興味に支配されることなく 考えることが大切になってはきますが、 それは、経験の幅が広がり、 ちょっとやそっとでは思考力が邪魔されなくなってくる からでもあります。 物事への新鮮な感動と驚きという心の動きは持ち続けたい ものですが、 その心の動きによって思考力が止まってしまうのではなく、 心の動きも上手にコントロールできるように・・・というのが 理想ですね。 今回のエピソードは、 「 色 」の識別についても 3歳児の子どもの発達として大切なところですので 次回、お伝えしますね。 INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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