Kids CanvasEQ・IQを伸ばす育児の知恵と幼児教育
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      『 矛盾 』  5歳



     初めて餅つきをする。

     見ていた時のイメージと違って、なかなか思うようにいかない。


      「 きねが重たかった 」

      「 臼をたたいちゃった 」

      「 うまくお餅に当たらなかった 」



     などなど、初めて餅をついた感想をもらす子どもたち。


     するとしばらく考えて Yくんは言った。



     「 軽かったけど、重かった 」



     と。





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     ということで、今日は…


     子どもの表現の矛盾について…




     大人の餅つきを見ているときは、

     簡単にできそうなイメージを持っていた子どもたちです。

     実際、早くやりたくてうずうずしていました。

     が、いざ きねを持つと、それだけで身体がふらついて

     きねに振り回されている様子。

     餅にきねを当てるなんて至難の業です。

     それでも少しずつ、きねをコントロールして

     振り下ろすことができるようになってきました。


     「 きねが重たかった 」

     「 臼をたたいちゃった 」

     「 うまくお餅に当たらなかった 」



     という正直な感想がその難しさを物語っています。

     が、Yくんは、


     「 軽かったけど、重かった 」


     と説明します。

     ことばを変えると、


     「 簡単だったけど、難しかった 」


     ということ。


     「 結局、どっち? 」 という突っ込みが入りそうですが、

     どっちも本当の気持ち、感想です。

     「 こんなの、簡単! 」

     「 軽い 軽い! 」


     というイメージの表現と、

     現実、

     「 あれっ? 」

     「 重いかも? もしかして難しい? 」


     という表現が合わさって出たことばです。


     そう簡単にはいかない餅つきのあと、

     こぶたが餅をつくのに四苦八苦する絵本を見て

     大笑いをして喜んでいました。

     「 気持ち、わかる 」

     という嬉しさいっぱいの表情で!


     餅つき以外の場面でも子どもの言動には、

     矛盾するようなこと、突っ込みどころがたくさんあります。

     たとえば…

     「 泣いたけど泣いてない 」 とか、  

     「 痛かったけど痛くなかった 」 とか、

     「しんどかったけどしんどくなかった 」 とか…

     どれも子どもの本当の気持ちです。

     泣いていない強い自分のイメージと、

     実際泣いてしまったことを認めることばと、

     合わさった表現です。

     そんなときは、 泣いてないイメージも、

     泣いた現実もひっくるめて

     「 強かったね 」と、認めてやりたいですね。

     子どもの気持ちを大切にしたい
ですね。


     「 どっちが本当? 」とか、

     「 嘘をつかないの! 」ではなくて、


     子どものことばをのそのまんま受け止めたいですね。

     理想と現実が合わさって矛盾しているかにみえる気持ち、表現…

     その中に子どもの、自立していく強さと覚悟が感じられ
ます。





     「 ぼくの要望は、矛盾してるからたいへんなんです。

       名人は、それを表現してくださるから、最高なんですよ 」


      by  イチロー





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