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![]() 『 矛盾 』 5歳 初めて餅つきをする。 見ていた時のイメージと違って、なかなか思うようにいかない。 「 きねが重たかった 」 「 臼をたたいちゃった 」 「 うまくお餅に当たらなかった 」 などなど、初めて餅をついた感想をもらす子どもたち。 するとしばらく考えて Yくんは言った。 「 軽かったけど、重かった 」 と。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は… 子どもの表現の矛盾について… 大人の餅つきを見ているときは、 簡単にできそうなイメージを持っていた子どもたちです。 実際、早くやりたくてうずうずしていました。 が、いざ きねを持つと、それだけで身体がふらついて きねに振り回されている様子。 餅にきねを当てるなんて至難の業です。 それでも少しずつ、きねをコントロールして 振り下ろすことができるようになってきました。 「 きねが重たかった 」 「 臼をたたいちゃった 」 「 うまくお餅に当たらなかった 」 という正直な感想がその難しさを物語っています。 が、Yくんは、 「 軽かったけど、重かった 」 と説明します。 ことばを変えると、 「 簡単だったけど、難しかった 」 ということ。 「 結局、どっち? 」 という突っ込みが入りそうですが、 どっちも本当の気持ち、感想です。 「 こんなの、簡単! 」 「 軽い 軽い! 」 というイメージの表現と、 現実、 「 あれっ? 」 「 重いかも? もしかして難しい? 」 という表現が合わさって出たことばです。 そう簡単にはいかない餅つきのあと、 こぶたが餅をつくのに四苦八苦する絵本を見て 大笑いをして喜んでいました。 「 気持ち、わかる 」 という嬉しさいっぱいの表情で! 餅つき以外の場面でも子どもの言動には、 矛盾するようなこと、突っ込みどころがたくさんあります。 たとえば… 「 泣いたけど泣いてない 」 とか、 「 痛かったけど痛くなかった 」 とか、 「しんどかったけどしんどくなかった 」 とか… どれも子どもの本当の気持ちです。 泣いていない強い自分のイメージと、 実際泣いてしまったことを認めることばと、 合わさった表現です。 そんなときは、 泣いてないイメージも、 泣いた現実もひっくるめて 「 強かったね 」と、認めてやりたいですね。 子どもの気持ちを大切にしたいですね。 「 どっちが本当? 」とか、 「 嘘をつかないの! 」ではなくて、 子どものことばをのそのまんま受け止めたいですね。 理想と現実が合わさって矛盾しているかにみえる気持ち、表現… その中に子どもの、自立していく強さと覚悟が感じられます。 「 ぼくの要望は、矛盾してるからたいへんなんです。 名人は、それを表現してくださるから、最高なんですよ 」 by イチロー INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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