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      『 競争意識 』  5歳児



     体力測定を行った。

     ふたりが並んで走る 20メートル走で・・・



     後ろから追いかける子どもは、前を行く友達に追いつこうと
     最後まで力いっぱい走るが、

     前を行く子どもは、後ろを気にして振り返ったり、
     安心して力を弱めたりと、力そのものが発揮できなかった。



     走り終わってからも


     「 ぼく、勝ったもん! 」


     「 追い抜かしてやったもん!! 」



     と、勝ったことだけを自慢していた。



     友達と比べて速いか遅いかという競争意識が第一で、
     自分自身の力を測るということの意味がまだまだ理解できない

     子ども達であった。





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     ということで、今日は・・・



     友達との勝敗が自分の力を確認できるものさしで、
     勝つことだけに気持ちがいくということについて・・・




     自分の運動能力を測るという経験は初めての子ども達です。

     ‘ 走る ’  = ‘ 競争 ’ ととらえ、競争意識の強い子は

     ‘ 勝つ ’ ことにこだわり、

     ‘ 勝つ ’ ことで自分の力を証明できるものと思っています。


     ‘ タイム ’ を意識するということはまだまだわかりません。

     自分自身の力を表すものが人との競争であると思っています。



     中にはまっすぐ走るということが難しい子もいます。

     まっすぐに走ることができない子に、ラインを意識するように
     促すと、ラインを気にしてゆっくりゆっくりラインをたどる
     ・・・

     といった具合です。


     そのようなゆっくりペースの子どもとペアーになった子は、
     本来ならもっともっと速く走ることができるのに、

     ゆっくりペースの子に合わせて、そのゆっくりペースに
     勝つように走る・・・といった具合なのです。



     これは、ともすれば友達と比較してわが子をほめたり、
     逆にお尻をたたいたりしてしまう大人
にも、

     その言動を振り返ってほしいところにも通じます。



     友達と比べての‘ 力 ’ ではなく、‘ 自分自身の力 ’ を
     発揮すること、

     それは、
     能力というのは運動に限らず、それぞれ子どもによって
     違って当然で、

     その分野での、その能力の違いをお互いが認め、

     違った分野ではまたその力が逆転することもある
・・・という

     ことを知ることが大切なのです。


     が、
     親は、どの分野においてもわが子が友達より‘ 勝る ’ ことを
     望んでしまう
・・・


     それが子どもにも伝わる・・・


     そして友達との差が自分の力だというものさしになって
     しまう・・・

     のです。




     相田みつをさんが

     「 トマトとメロン 」という詩で表現しています。


     ‘ トマトとメロンをね
       二つ並べて比べたり競争させたりしているのは
       そろばん片手の人間だけ
       当事者にしてみればいいめいわくのこと ’





     ‘ 自己中心性 ’ から抜け切れない3歳児とは違って
     5歳児にもなれば、

     ‘ 周り ’を気にして、競争意識が強くなるということが
     成長の証し
でもあります。


     ‘ どう見られるか ’

     ‘ どう思われるか ’ を気にして

     自分以外の目から見る自分を想像して行動するようになります。



     ‘ 負けることが格好が悪い ’

     ‘ 勝つことが格好が良い ’

     という競争意識にますます火がつきます。

     特に男児に多いのですが・・・。



     ひとつの成長でもある、子どもが感じる競争意識を、
     抑えたり否定したりはしないで
くださいね。


     ただ、
     他の子どもとわが子を比べての言動だけはひかえなければ
     いけません。


     友達と比べての力ではなく、力いっぱい発揮した結果を
     認めてもらえると

     勝ち負けではない達成感を感じることができます。

     そうすれば・・・
     友達の力を認め、自分の力は友達に影響されずに発揮できる
     ようになってくる・・・

     それがステップアップです。



     競争社会を生きぬく上で、勝敗にこだわることが大切だとしたら、

     それは‘ 負ける ’ 体験をもさせてあげることです。


     自分の思うようにならないことがあるということ、
     負けること、恥ずかしいこと、悔しいこと、腹立たしいこと、

     いろんないろんな壁や失敗に打ち勝つ力をつけるために・・・。


     ‘ 負ける ’ ということを受け入れられるように・・・。



     ‘ 自分自身の力 ’ はその時に本当に試されるということを、

     5歳児の子どもには難しく、
     それを教える必要も今はありませんが、

     保護者自身がその大切さを理解し、理解した上で
     子どもへのことばがけや態度を示すこと・・・

     それで子どもは見て感じて成長していきます。



     子どもは親の鏡です。


     親が姿勢を示すこと・・・それだけで
     学び取るものです。

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