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![]() 『 雨の好きな生き物の概念 』 4歳 雨の好きな生き物の絵を描く。 「 かたつむり 」「 蛙 」とすぐに答えて盛り上がる子どもたち。 「 あめんぼ 」「 げんごろう 」の名前もあがった。 ひとつの生き物を大きく描くという約束だったが、 描きはじめると… 実物大のように小さく小さく描く子どもたち! その中で 「 雨を喜ぶ生き物 」として Hくんは 画用紙一杯に… 「 花 」を描き始めた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は… ことばの概念について… 「 雨の好きな生き物 」ということばを受けて 梅雨時によく動く生き物を思い起こす子どもたちです。 「 生き物 」 = 目に見えて「 動く」生き物を イメージしています。 年中児にもなると、 それぞれの「 季節 」に活動する虫、魚、両生類、鳥… などの動物や、 季節ごとに咲く草や花、旬な果物などの植物…と、 知識は持っています。 家庭や園で、見て聞いて教えてもらって いろんな環境や経験から得られた知識です。 が、その知識が、 「 生き物 」=「 小動物 」という限定された概念を 作り上げているかのように、 ほとんどの子どもたちが、 「 かたつむり 」や「 蛙 」「 おたまじゃくし 」を 小さく小さく描くという表現になっていました。 そんな中にあって 「 花 」を大きく大きく描くという表現をしたHくん。 周りの友達と違っていても気にせずに楽しんで表現していました。 「 花 」も「 生き物 」。 テーマから外れていない表現に 他の子どもたちも刺激を受けたことでしょう。 知らないことを知り、 得られる知識は豊かであればあるほど、人生も豊かになります。 が、その知識やことばが持つ意味は 受け取り方によって 幅広くとらえられるということを まずは大人が理解して受け入れていきたいですね。 大人の意図で 「 小動物 」を描くねらいを持っていれば、 「 小動物 」に限定されることばを使うこと。 子どもたちのイメージを広げて もっと広い解釈での表現を自由に楽しむことがねらいなら 受け取り方も幅広く受け取れることばを使うことなど… 柔軟に、大人もことばを選んで投げかけることの大切さを 子どもたちから教えてもらいました。 具体的な答えを導きたいときは 具体的な質問を、 一方で幅広い答えを導きたいときは 考える幅を持つ質問を、 すること… 簡単なようでとても難しいんですよね。 たとえば、よくありがちなのは… 子どもから「 ありがとう 」のことばを引き出したいときに 「 なんて言うの? 」という質問だと、 幅広過ぎて「 ? 」と ことばが出てこなかったりします。 大人にとっては、相手から何かをもらったり、 してもらって嬉しい気持ちを受け取ったら そのお礼として 「 ありがとう 」のことばを返すのは当然のことなので、 「 なんて言うの?」で伝わると思いがちですが、 子どもにとっては それこそ 「 なにに対して? 」 「 ぼくがなんて言えばいいの?」となります。 「 このおもちゃを貸してもらってどんな気持ちがした?」 「 その嬉しい気持ちを○○ちゃんに伝えようか?」 などなど、具体的に質問していくと… そこでようやく 「 ありがとう 」が出る子もいます。 が、「 伝える 」ということばも広く受け取れますので、 中には 「 ありがとう 」のことばではなく、 抱きついたり、頭をなでなでしたり、 身体表現で伝えるかもしれません。 「 ことばで伝えようか?」 と促すなど、いろいろこちらも考えることになりますね。 まだまだ概念が固まっていない子どもたちとのやり取りは 大人の固まった概念をも柔軟にほぐしてくれます。 ほぐしてほぐして、凝り固まった概念が子どもの発想の 幅を狭めないように!! したいですね。 「 知らないことを知っていると思い込んでいる人々よりは、 知らないことを知らないと自覚している自分の方が賢く、 知恵の上で少しばかり優っている 」 by ソクラテス INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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