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![]() 『 子どものとき 』 5歳 NHKの子ども科学電話相談での会話。 「 キリンの角は何のためにあるんですか? 」 と質問する子どもに 先生が尋ね返した。 「 キリンを見たことあるの? 」 「 子どものとき見た 」 「 子どものとき? 」 子どもの想定外の答えに 思わず笑ってことばを繰り返す先生だった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は… 子どものことばの選択について… 先生の質問に対して 5歳の子どもが 「 子どものとき、( キリンを ) 見た 」 という絶妙な返えしをしました。 質問の内容よりもそのことば選びに 思わず引き込まれて微笑んでしまいました。 きっと質問をした男の子の頭の中には、動物園に行って キリンを見上げた「 あのとき 」 のひとコマが映し出されて いたことでしょう。 子どもの時間感覚からすると、そのひとコマから 時はうーんと経っています。 「 随分 前 」 「 昔 」 「 以前 」 ということばではなく、 「 子どもの時 」という表現になったのは そのためではないでしょうか? 大人からすると 「 5歳も子ども 」 ですが、 子ども自身には 「 今の自分より小さかった時 」の表現が 「 子どものとき 」ということ。 今の自分が子どもかどうかなんて関係なく、 子どもの時間感覚からくる表現、 そのことば選びが新鮮でとても微笑ましく感じました。 なので 「 今も子どもでしょ? 」という突っ込みは 突っ込みにはなりません。 「 それって何歳の時だった? 」 「 ちゃんと覚えてるんだね? 」 「 角をちゃんと見ていたんだね? 」 などなど、子どもの頭に描かれている、 「 子どものとき 」の光景を一緒に思い浮かべて 楽しかった思い出を語り合いたいですね。 そうしたらもっともっと 子どもの中の「 子どものとき 」は 輝きが増すことでしょう。 自分の過去を楽しく振り返ることは 自己肯定感につながります。 自分自身を好きになり、 いっしょに楽しさを共有した家族の愛情も 確認出来て幸せいっぱいの笑顔を見せてくれることでしょう。 大人は、 相手がどう思うかを考えてことばを選びます。 子どもは、 今あることばの引き出しから、 今まで生きてきた中の時間の流れや、 強く印象に残っている体験イメージなどを くるくると頭で描きながらことばを選びます。 相手がどう受け取るかではなく、 自分のことばを口にします。 例外は、話す相手が自分より小さな子どものとき! たとえば、5歳の子が3歳の子どもに話すときは お兄さん、お姉さんの立場で、 3歳の子どもがわかるようにと考えて しっかりことばを選ぼうとします。 「 わかる? 」とフォローを入れながら…。 大人が相手だと、 充分に理解してくれるだろうという安心感から 思うままに表現します。 子どものことばの選択は、大人には想像がつきません。 だからひとことひとことに意外性があり、発見があり、 楽しくて聞き入ってしまいます。 では大人のことばの選択を 子どもはどう受け取っているのでしょうか? ラジオで、脳科学研究者の黒川 伊保子さんが 興味深い話をされていました。 「 D 」の音は、「 はやる気持ちを抑える 」音だと。 「 でも 」 「 だって 」 「 どうせ 」 ということばは、身体を止めてしまうため ご自身は使わないと。 子どもにも 「 だめ 」 「 どうしてできないの? 」 と言わない方が良いと話されてました。 一方、「 はやる気持ちを抑える 」ことは、 悪いことばかりではなく、 相手の気持ちを落ち着かせるという場面で、 「 だいじょうぶ? 」 「 どう? 」 などと使うと、 相手を思いやることばとなるそうです。 普段、場面や状況に応じて自然とことばを口にしていますが、 脳科学からの分析を聴くと、 改めてことばを選ぶという意識が出てきますね? 時間に追われてついつい子どもを急かすこと、 叱ることが多くなる毎日。 短くて伝わりやすい、 「 だめ 」 って使ってしまいがちではないでしょうか? 禁止ばかりされると、 自分で考えて動くことにブレーキがかかってしまいます。 指示待ちになってしまいます。 「 だめ 」ではなく、 「 〇〇しよう 」 という肯定のことばを選ぶということは 教育的な面からよく言われることですが、 脳がことばをどう受け取るかという脳科学の面からも 裏付けされたということですね。 子どものことばの選択、 大人のことばの選択、 選ぶ過程も選ぶことばも全く異なりますが、 だからこそお互いに理解し合おうと 頷きながら耳を傾け合うことが大切になりますね。 そうそう、相手と心を通わせたいときは、 相槌を打つときに 「 あ 」行を使うと良いそうですよ。 「 あー そうなんだ 」 「 いいねー わかるよ 」 「 うんうん そうなんだ 」 「 えー そうなの? 」 「 おー そうきたか 」 などなど…。 「 あ 」 行は、共感型のことばだそうです。 子どもへのことばがけだけではなくて、 大人同士でも 相手の情に訴えたいか、理に訴えたいかによって ことばを選ぶと良いそうです。 今回のテーマの 「 ことばの選択 」を 「 ことば選び 」と言うと 少し柔らかく聞こえませんか? 情に訴える、柔らかな言い方と、 理に訴える、かしこまる言い方、 使い分けを考えてこれからもお届けしますね。 「 言葉の使い方ひとつで、 相手との関係はガラリと変わるようになります 言葉には、 人間関係を一変させるパワーが備わっているのです 」 by ジョセフ・マーフィー INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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