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![]() 『 答えたくない 』 3歳児 駅のホームに続くエスカレーターで、 3歳くらいの男の子の手を引きながら おばあさまが一生懸命尋ねていた。 「 今のは なに線だった? 」 「 ・・・ 」 「 なに線? 」 「 ・・・ 」 「 次は〇〇線に乗るのよ 」 「 ・・・ 」 「 さあ、これはなに線? 」 「 ・・・ 」 「 さっき、おばあちゃん、なに線って教えてあげた? 」 「 ・・・ 」 男の子にとっては大好きな電車のはずが・・・ 男の子に笑顔はなかった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は・・・ 質問攻めにあって、答えたくなくなる子ども心について・・・ 男の子にとって電車や線路、駅やホームは興味津々、 魅力的なもの・場所です。 にもかかわらず、全く楽しそうでもなく、嬉しそうでもなく、 逆につまらなそうな、うつむき加減の様子でした。 子どもは、自分が知りたいと思えば自ら 「 これはなに? 」 と尋ねてきます。 「 これは? 」 「 これは? 」 「 これは? 」 と逆に大人を質問攻めにします。 「 どうして? 」 「 どうして? 」 「 どうして? 」 と問い続けます。 でもこの男の子は、 乗ってきた電車やこれから乗る電車がなに線かということには それほど関心がないのでしょう。 関心がない上に質問攻めにあって、 答えることさえ拒絶してしまいました。 子どもには、大人が教え込もうとすればするほど それをはねつける時期があります。 特に 「 なに線? 」 「 なに線? 」 と、テストされることはとても苦痛で‘ 面白くない ’のです。 そればかりか、本来は好きなはずの電車に対して、 ‘ 電車に乗ると、なに線かを覚えなくちゃいけないから嫌いだ ’ と、興味を逆に失ってしまう結果になります。 いろんな場所に行き、いろんな人に会うという、 環境の違いによる刺激は子どもにとって大きくて大切ですが、 環境を準備したら、 「 ほら、これを見てごらん 」 と、いろんなものに目を向けることばがけをするだけで いいのです。 あとは、好奇心旺盛で知りたくて知りたくてうずうず している子どもからの質問を待つだけです。 何に興味を持つか、 何をもっと見たいか、 何をもっと知りたいか、 それは子ども次第です。 子どもからの質問が出なければ、 テストをするのではなく、 いっしょに考える質問を投げかけてみてください。 「 電車の色が違うね。どうしてだろう? 」 「 今度の電車は、さっきの電車みたいに外が見えないね。 この電車はどこを走っているんだろう? 」 などなど・・・。 大人には予想もつかない、子どもだからこその答えが返って くることでしょう。 その発想がどういう理由によるものかをさらに話していくと 子どもなりに考え、子どもなりの結論を出し、 電車の色の違いは、電車の線の違いということに気付き、 線の違いに興味を持てば、なに線かということも 大人以上のスピードと正確さで覚えていくことでしょう。 大人は、子どもの知識を確認したいものです。 テストしたいものです。 念押ししたいものです。 また大人は、せっかちで待つことが大の苦手です。 子どもの心からの言動を待たずに、 自分の期待する言動へとコントロールしようとするものです。 が、そうすればするほど、逆に逆に抵抗しようとするのが、 この3歳という難しい時期です。 頭ではわかっていても子どもを目の前にすると なかなか理想通りにはいきません。 が、それでも 常に子どもといっしょに考えるスタンスを心がけているうちに 少しずつ少しずつ冷静に、 子どもが興味をもつまで‘ 待つ ’ ことができるように なってきます。 「 答えたくない 」 と子どもが拒まないよう、 ‘ 知りたい ’ という生まれながらにして持っている欲求を 生き生きと表現できるよう、 しっかり見守りたいですね。 INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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