Kids CanvasEQ・IQを伸ばす育児の知恵と幼児教育
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      『 子ども感覚の比較 』  5歳



     鉄棒をした。

     身長に合った高さの鉄棒に並んで

     順番にする。


     高い鉄棒で構える子にはまるでスターのような歓声があがる。

     「 キャー 」と盛り上がる女の子たちだった。





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     ということで、今日は…


     高さなどの比較で、

     見た目に惑わされる子ども感覚について…




     まるで高い鉄棒ができる子は

     「 運動神経がよくて、できる子 」

     思っている子どもたちです。

     低い鉄棒で軽々と逆上がりをする子よりも、

     高い鉄棒を握っているだけで

     そんなふうな感覚にとらわれます。

     身長にかかわらず、高い鉄棒は低い鉄棒よりも
     難しいという感覚、

     大きいものは小さいものよりも、

     また多ければ少ないよりも価値があるという感覚…

     見た目だけで惑わされ判断する子どもたちです。


     年齢が少し上の子どもでも、
     こんなエピソードを聞いたことがあります。

     一ヶ月、100円ずつ  15回のお小遣いから、
     1000円札 1枚に変わって大喜びの小学生の話。

     もらえる金額が減っていることに気が回らないという
     エピソードです。

     硬貨よりもお札の方に価値があるという感覚ですね。

     その質がどうかというところまで気がまわらない年齢です。

     大人は、実際の客観的な価値を理解していますが、

     必要としているか していないかで

     その価値観は人それぞれです。

     高い・低い、大きい・小さい、
     長い・短い、多い・少ない…などの比較は

     見た目に惑わされずに

     その中身まで深く探っていくことで、

     自分都合の価値観ではない、客観的な価値をつかんで
     いく
ようになります。

     高い鉄棒を握っている子に送られた拍手と同じように

     低い鉄棒でも、みんなが四苦八苦している逆上がりを

     簡単にやってのける友達に大拍手と歓声が起こるでしょう。


     私自身が幼い頃、惑わされたのは
     新幹線より普通電車の方が速いという感覚です。

     それは、
     ずーっと止まらずに走り続ける新幹線の車窓には飽きても

     各駅停車で、駅に止まるたびに変わる視界に
     速さを感じていたのかもしれません。

     移動距離と時間というかけ合わせは知るよしもなく…。

     鉄棒の高さも、電車の速さも、またお金の多さも、

     実際の逆上がりの観察、
     実際に移動した距離、
     実際にそのお金で買える数…を経験で学んでいくことで、

     客観的な価値に気づいて
いきます。

     子どもは、教えてもらうのではなく、

     「気づき」からの学びで初めて、

     自分軸の価値が間違っていたと、認めることができるように
     なり
ます。

     「新幹線の方が速い」ことは、何度も聞かされましたが

     「視界の変化」「飽きないこと」=「速さ」感覚は、

     その教えでは上書きされませんでしたので!

     自分の目で見て、考えて感じて、

     「おかしいなあ?」という不思議を

     ひとつひとつひも解いていくなかで、

     自己都合ではない客観的な価値を理解していき
ます。

     それまでの子ども感覚の捉え方、発することば、ひとつひとつを

     「間違っているよ」

     と否定したりすることなく、

     大人はもう忘れてしまった感覚として

     
「そんな風に感じるんだね?」

     そんな捉え方があることを懐かしく、

     また新たな感覚として受け止めたい
ですね。

     そして年齢に応じて

     「実験しよう!」
     「調べてみよう!」
と、

     実際の逆上がり、
     実際に移動した距離、
     実際にそのお金で買える数をいっしょに確認して

     気づきが得られるきっかけができればいいですね。

     手っとり早く教え込まれた知識よりも

     楽しく経験を通して学んで得られた知識の方が

     より長い目で見たら大きな大きな力となり
ます。

     一瞬にして上書きされたかのように見える知識を

     重要視するのではなく、

     そのあとずーっと継続される探求心の根が、

     うーんと深くしっかりと張れますように






     「 我々は他人の知識によって物知りにはなれるが、
       賢くなるには、我々自身の知恵によるしかない 」

      by  モンテーニュ 




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