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![]() 『 経験から得る知識 』 2歳 ・ 5歳 鉄棒て逆上がりの練習を一生懸命している5歳の Sちゃん。 顔を見るなり、 「 S ね、昨日、逆上がり、できたんだよ 」 と報告してくれた。 S ちゃんの自信に満ちた喜び一杯の笑顔に思わず 「 タッチ!」 と言ってハイタッチで一緒に喜ぶと、 しゃがんで聞いていた2歳の弟が思わず すっくと立ち上がった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は… 前回に引き続き、 経験によって知識が定着するまでのことばの理解について… 2歳の子どもにとっての「 タッチ!」は、 「 たっちしてごらん 」 「 立ってごらん 」 =「 立つ 」こと! 「 タッチ 」の掛け声と同時に すっくと立ち上がった様子は自然で まさしく前回、 「 go!」を「 5 」に置き換えたエピソードにつながる ところがあります。 「 touch 」を「 立っち 」と受けとる2歳の弟を見て 5歳の S ちゃんは不思議そうな顔ひとつしませんでした。 S ちゃんの知ってる「 タッチ 」には「 ハイタッチ 」と 「 立つ 」と、ふたつの意味があるかのように! なんの不思議もなく当たり前のように! 「 はな 」には、「 花 」もあれば「 鼻 」もあるように。 また「 あめ 」には「 雨 」もあれば「 飴 」もあるように。 5歳の S ちゃんは、 「 花 」も「 鼻 」も、 「 雨 」も「 飴 」も具体的にどういうものか知っているから 音が同じでも表す意味が違うことは 前後のつながりから理解して受け取ります。 漢字の違いは知らない年齢ですが、 同じ音で意味が異なる「 同音異義語 」を 耳にしたり使っていく、そのシチュエーションと合わせ、 経験の中で学んでいったから! 表す意味が違うように、 漢字での表記もまた異なることを成長と共に これから学んでいくSちゃんです。 英語の「 touch 」にいたってはなおさら、 その動作とことばがつながっての 体験の中での理解になりますね。 2年間生活してきた中で、 「 たっち 」 は 「 立つ 」シチュエーションしかまだ 経験がない2歳の弟と、 5歳という、その倍以上に及ぶ、 また家庭だけではなく集団生活での経験もプラスアルファ されての姉と、 ふたりの経験値の違いが表れた、興味深い様子でした。 異なった環境がたくさんあればあるほど、 その環境に合うことばとシチュエーションをつなげていき、 子どもの語彙は豊かになります。 その環境は場所だけではなく、 人であったり、ものであったり、状況であったり… さまざまな環境です。 経験とことばが合わさって そこからまた枝葉が分かれていきます。 道で犬に出会い、 「 犬 」がどういう動物か知ったら、 今度は「 これはプードルなんだよ 」と教えてもらって 「 プードル 」がどういう犬かを知り、 「 プードル 」とは特徴が全く違う「 ブルドッグ 」を見て 「 プードル 」もいれば「 ブルドッグ 」もいるけれど、 それ以外にはどんな犬がいるか 「 知りたい 」という興味が広がっていきます。 そして犬と向き合ってけんかをする猫を見かけたら、 今度は猫の種類が広がっていきます。 経験に基づくことばの理解はしっかりと自分の中に残ります。 自ら興味を持ったものはもとより、 繰り返されることもしっかり残ります。 3歳児検診で保健師さんに尋ねられたことに お子さまが答えられなくて、 我が子の成長を大変心配されているお母さまから聞いた話です。 保健師さんに 「 寒くなったらどうするの? 」 と尋ねられたそうです。 まだ寒くならない秋の検診で。 そのお子さまが寒かった経験といえば… まだ2歳の冬? それとも少し前の夏でも、効き過ぎた冷房によるもの? それは答えられなくても不思議ではありませんよね? 「 お腹がすいたらどうするの? 」って そのお子さまに尋ねると… 「 ごはん! 」と答えました。 心配はいらない様子に、お母さまはとても安心されました。 きっとこの検診では 「 もしも 」という仮定の質問に 答えられるかを診たかったと思うのですが、 その「 仮定 」も経験していなければ仮定することは できませんね。 真冬の 寒い時期の検診ならきっと 「 手袋をつける 」 「 マフラーをまく 」 「 ストーブをつける 」 などなど、答えられたでしょう。 ことばも思考も、想像も、全てはどれだけの経験の中で 学んだかで、大きな違いが見られますね。 たとえば、親の嫌いな食べ物は食卓にあがらず、 食べ物の名前でも、子どもは知らないまま成長します。 ちなみに私の母は、香りが強いものが苦手で、 「 みょうが 」を随分成長するまで知りませんでした(笑)。 いろんなところに出向き、 いろんな人と出会い、 いろんな思いを五感を通して感じて、 それをことばにして、 また異なる場面で引っ張り出して使っていく… この繰り返しが、 思考力、想像力、判断力、集中力… いろんな能力の土台となっていきます。 自分で選んでその環境に飛び込んでいける年齢までは 保護者の好奇心と、それに向かうフットワークが とても大切になってきますね。 「 何かを学ぶためには、 自分で体験する以上にいい方法はない 」 by アインシュタイン INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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