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![]() 『 居心地 』 3歳児 年少クラスに年長児がやってきて一緒に遊んだ。 囲いを家に見立てて、マットを上手に使い、 お母さんごっこの始まり!! 年少児だけのいつものごっこ遊びでは、 家の中のあちらこちらにおもちゃが散らばっていて 「 ごはんを食べるところがないからお掃除をしよう 」 と誘っても 「 いや!!このままでいいの 」 と言って 狭い場所を見つけて ちょこんと座っている。 が、年長児が加わると・・・ ごちそうはきれいに並べられ、 見た目がとてもスマートな片付いた家になる。 そうなると・・・ 今度は年少児が、居心地が悪いのか家から出て行き、 違う場所で粘土遊びを始めてしまう。 集まりの時間がきて、先に年長児が部屋からいなくなると、 粘土遊びをしていた子どもたちは粘土からはなれ、 自然にごっこ遊びの家の中に戻り、 のぞいたり、 「 ただいま!! 」 と、喜んで帰ってきたりしていた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ということで、今日は・・・ 居心地の良い空間について・・・ おもちゃ箱をひっくり返して、 そこに埋もれながら機嫌良く遊ぶ子どもに 「 使うものだけ出してあとは片付けなさい 」 とイライラ気味に注意することって、 日常よくあることではないでしょうか? 雑然とした部屋に いても立ってもいられず、 我慢も限界に達すると 「 おもちゃ全部捨てちゃうよ 」 と言い放つ場面も!! ですが・・・ 大人と違って雑然としていたほうが落ち着くのが子どもです。 散らかっていて、自分がその中に埋もれているほうが 居心地が良く安心できる空間になります。 ‘ どうやって入ったの? ’ というくらい小さなダンボールの中に入ったり、 狭い狭い隙間に入り込んだり、隠れたり・・・ 子どもは、 広いところよりも狭いところ、 整然と片付けられているところよりも乱雑に散らかって いるところが 大好きです。 落ち着きます。 居心地が良いと感じます。 ‘自由’も過ぎると 何をすればよいか戸惑うように、 ある程度の制約があるから、その中で安心して行動できる・・・ それが子どもです。 散らかった家をきれいに整えてくれた年長児ですが、 年少児にはそれがかえって居心地の悪い空間になってしまい、 その家から離れていきました。 大人でも、第三者から見ると整理されていない机や部屋でも、 本人にすれば使い勝手がよく、本人仕様として完璧なこと・・・ ありますよね? 年齢が小さな子どものそれとは意味は違いますが (使い勝手や次のことを考えての仕様にはなっておらず)、 感覚的に落ち着くことができる、居心地の良い空間を 自分たちで作り上げているのです。 誰の目にも居心地が良い空間は理想ですが、 大人と子どもではその感じ方がまったく異なります。 子どもにとっては特に どうしたらよいかわからないような広い整然とした 場所ではない方が、 何かに囲まれている感覚の方が、 安心感があり居心地が良いということを理解し、認めることで、 子どもへの注意が注意ではなく(命令ではなく)、 提案として冷静に話すことができるようになります。 そうすれば子どもも、 その提案に対しては頑なに反抗することもなく、 双方のイライラはとても軽減されていきます。 子どもは自分のすることに対して反対されたり否定されたり すると、それに対してさらなる反対や否定で返します。 または、聞こえないようにふるまったり、 「 あとで 」 とその場だけの返しをするようになります。 結局、 「 きれいに片付けてほしい 」 という大人の思いはかえってかなえられません。 子どもの思いに大人が近づき、 「 いっぱいのおもちゃの中で楽しそうだね! お母さんも入れて!! でも、お母さん大きいからその中に入れない! どうしよう? 少し場所を空けてくれる? 」 と、提案することで子どもは スペースを空けること(片付けること)が 自分だけではない、人との遊びを広げていくこと、 その人の居心地の良い空間を考えて作ること への理解にもつながっていきます。 それが、人の気持ちの理解、思いやりにもつながります。 単刀直入に叱ったり注意したりするほうが簡単ですが、 それによって、問題が解決されないなら (そもそも問題かどうかも立ち止まって考えることも大切です)、 また、子どもに人の気持ちが理解できるようになってほしいなら、 まず周りの大人が、 子どもの気持ちを理解するところからはじめたいですね。 INDEX <前号 次号> ![]() Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.
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