Kids CanvasEQ・IQを伸ばす育児の知恵と幼児教育
   HOME  |  INDEX  

    
      『 初経験 』  6歳



     卒園式の練習が始まった頃。

     ひとりひとり名前を呼ばれて…

     緊張して硬い表情の子もいれば、

     満面、笑みを浮かべて喜んで前に出る子もいた。

     嬉しくて嬉しくて
     思わずスキップをしてしまう子
もいた。


     練習も回を重ねて、もう目の前に卒園式という日。
     ポツリと言ったことばは…


     「 本当の卒園式が来ないで
       いつも練習だったらいいのに! 」



     だった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


     ということで、今日は…


     初めての経験で得られる、子どもの気持ちの変化について…




     1年前、2年前に年長さんを送り出す立場とは全く違う
     「 卒園式 」 !

     ○○組としてではなく、ひとりひとりに注目が集まる式!

     当番の役割で、クラスの友達の前に出るその日は

     まだかまだかと首を長くして待つ特別な日ですが、

     クラスだけではなく、

     全園児、先生、本当の卒園式では家族と…

     たくさんたくさんの人の前に出てみんなの目と注意とが注がれる…

     想像するだけで、緊張や嬉しさや、ドキドキやわくわくや…

     いろんな気持ちをおさえられない子どもたちです。


     練習も回を重ねると、

     ちょっぴり慣れてきて落ち着いてきて、

     ちょっぴり退屈になったり、ちょっぴりざわついたり、

     と同時に、緊張や嬉しさ以外の気持ちも出てきます。

     人生で初めての 「 卒園式 」 !

     どんな意味があるのか、

     具体的にどんなことばがあるのか、

     どんな気持ちがわき起こるのか、

     一日一日、子どもたちは

     「 卒園式ってそういうことなんだ! 」

     と、自分なりの解釈をするようになります。

     初めての経験というのはそういうもの。


     小学校、中学校、高校…

     「 卒業式 」を経験してその意味を知っていれば、

     最初から別れを惜しんで


     「 その日が来なければいいのに… 」


     と感傷的になったりもします。

     が、初めての経験では

     「 卒園式 」 「 卒業 」

     の意味から経験で感じとっていき
ます。


     最初は、初めての経験で

     自分自身が注目されることでの緊張や嬉しさの気持ちだけでも、

     違う小学校の名前を耳にして

     「 ○○ちゃんは同じ小学校に行かないんだ 」

     と理解して思いを寄せるようになったり…

     「 ここにいる友達、先生と、こんなふうに
       話したり遊んだり、けんかしたり、喜んだり…
       もうできないんだ 」


     という寂しい気持ちが新たにわき起こってきます。


     そこで出たことば…

     「 本当の卒園式が来ないで
       いつも練習だったらいいのに! 」


     友達といっしょだからもめることもあるけれど、

     もめるのはそれぞれの意見が違っていて

     それをぶつけることができるから!


     ぶつけて話し合って

     ひとつの新しい答えが見つかる喜びは

     ひとりでは味わえない特別なもの
です。

     友達の意見を尊重したり、されたり、

     思いやったり、やられたり、

     心配したり、されたり、

     助けたり、助けられたり、

     譲ったり、譲られたり


     そんなクラスの友達との別れを惜しむ気持ちへの変化

     経験しなければ感じることのない気持ちの変化です。

     心の成長は、

     経験と、そこに関わる人によって育まれ
ます。

     「 いろんな環境 」 で「 いろんな人」 との経験を

     たくさん積み重ねてほしい
ものです。





     「 自分の経験は、どんなに小さくても、
       百万の他人のした経験より価値のある財産である 」

       by レッシング





         INDEX  前号  次号    

Copyright(c) Kids Canvas.All Rights Reserved.